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2017/6/15 LOGAN / 過去も未来もウルヴァリン [区営ジムにて]

花も嵐も寅次郎風にしたくて失敗した日記のタイトルだと、始めに白状しておく。

ウルヴァリンと言えばアメコミ界のトップに君臨する人気キャラクターの1人。その彼を、当時まだメジャーではなかったオージー、ヒュー・ジャックマンが演じたことに驚きを隠せなかったのは、もう17年も前の話である。
原作のウルヴァリンはチビでお下品なゴリマッチョのオヤジだ。だと言うのに、ヒューはその条件にまるで当てはまらない、高身長でハンサムでナイスバディの俳優ではないか。だがしかし、彼が演じるウルヴァリンの暴力性に潜む孤独や影は、『コテコテのアメコミ世界』から脱した映画に見事にハマった。特に第1作目の、ワイルドでぶっきらぼうで、だけどクールなヒューのウルヴァリンは本当にカッコ良かった。X-MEN映画の影響で、原作コミックの派生シリーズやアニメは、ウルヴァリンの見た目や性格をヒューに寄せてしまったくらいだ。
ヒューはこれを契機に世界的なスターになったのだが、弊害としてギャラが高騰した。同じくギャラがうなぎ登りとなった共演のハル・ベリー姐さんを含め、キャスト達への給料が重くのし掛かることとなる。3作目が終わる頃には、初期に比べ制作費がはね上がっていた事からもそれが分かるだろう。
お金は惜しいけど、人気者のヒューは出したい!そんな訳で、X-MEN映画シリーズは原作のようにノリや行き詰まりでキャラを成仏させたり、しれっとキャストを入れ替える方向をチョイス。ウルヴァリンのスピンオフも、この時期に撮られ始めた。
スピンオフ第1弾を飾るのは、ガチ神話なのか創作なのかが分からないクズリ話と、will.i.amの無駄遣いが光るX-Men Origins: Wolverine(邦題はウルヴァリン: X-MEN ZERO)。能力無限大なデップー始め、キャラが色々出た割に掘り下げ不足で不完全燃焼。結局オヤジ達の私怨でギャースカ煩くなるところが、如何にもX-MEN。僕はこの展開にほとほと疲れているんだパトラッシュ…。ウルヴァリンと言えば綺麗なお姉さん、てな訳で相手役のシルバーフォックスは美しい方でしたな。ガンビット?い、いました?(酷)
次作は日本を舞台にしたThe Wolverine(邦題は、ウルヴァリン: SAMURAIと清々しいまでのB級映画感!)。ハリウッド映画でありながら長崎の原爆を描くなど、硬派なテーマが含まれた外伝だが、それを吹っ飛ばすくらいの珍描写の数々。財閥の力が某国級で、ミュータント相手に強すぎるヤクザに、暗躍するニンジャ達。西洋フィルターのかかったJAPANへようこそ!しかしながら、日本刀とシルバーサムライの使い方が面白かったし、マリコを財閥の後継者にした所などは、原作からの良い置き換えだったと思う。ユキオとウルヴァリンの友情はジュビリーとウルヴァリンみたいなのもお気に入り。ただ、マリコとウルヴァリンの逃亡&隠遁は尺が長い割には感動しないし、吹き替え版だと女優陣のアフレコが壊滅的なのは頂けません。あと、ファムケ・ヤンセンの表情が怖くて、色んな意味でホラーでしたね。
そしてこの度、遂に日本で封切られたのが、スピンオフ3作目にしてヒュー卒業作LOGAN/ローガン。The WolverineのJames Mangoldが監督とあれば、期待しない訳がない。

先ず、出だしからしてセンセーショナル。不死のヒーローであったウルヴァリンが老いさらばえ、治癒能力が衰えていることからして衝撃的だが、加えてミュータントは死に絶えつつある存在だという。一般人に簡単にボコられ、スマホを駆使してお仕事をし、金持ちに使役されるウルヴァリン。偉大な指導者の教授は完璧にボケてしまい(パトリック・スチュワートの名演技よ!)、介護と隔離が必要な有り様。ファンは少なからずショックを受ける描写が続く。ウルヴァリンは今や、その名を捨てジェームズ・ハウレットとして暮らしていた。
全体を漂う西部劇の雰囲気がとても良い。荒涼とした大地に漂う、悲しみや怒り、むなしさ。劇中で引用されているシェーンとの共通点も勿論あるが、報酬の行き先や死地へと向かう男の様子には、荒野の7人シリーズを思い出した。強面オヤジと子供の交流、オヤジ達の友情と複雑でおぞましい過去、情け知らずの敵に非情な世界。古い映画へのオマージュも見受けられ、それでいて、アメコミ映画としても普通の映画としても成立している点が素晴らしい。
キャラクターを絞って、じっくり描き切るのも、とても良かった。ローガンと教授は言わずもがなで、役作りも完璧。また、初お披露目となるローラは、可愛らしいけど無茶苦茶に強く、新しい時代への期待を抱かせるパワフルでクールなヒロインだ。セリフは少ないが、魅力は充分に伝わった。悪役陣も怪演が光ったが、ちょっと説明不足かも?私が気に入ったのは白オジサンことキャリバン。予想外の起用だったが、実に良い味を出していて、破滅的な人達の物語に深みを与えていた。
話の軸はかなり示唆的だろう。ローガンは未来ある子供を連れ、北進しカナダ国境を目指す。ミュータントの子供にとって、アメリカは安息の地では無い。国内外で悪事を働くのも、主人公達を執拗に追うのも、どちらもアメリカ人だから。コミックでのウルヴァリンは、初登場時はカナダのエージェントという設定だったので、ここでカナダの国名があげられるのは納得か。それはそうと、「諸悪の根源はアメリカで、かの地では少数派が幸せになれない」、という前提が凄い。世界を救うのはアメリカ人、というお約束をあっさり無視しているのだ。身の危険を省みず弱者を守るのはメキシコの女性だし、若いミュータントはマイノリティ人種が多数。メキシコが重要な舞台だということを勘定に入れたとしても、意図的な配置だと思わざるを得ない。今のアメリカや、世界に対する強烈なメッセージを感じる。シリーズお馴染みの、ナチの収容所や公民権運動とのなぞらえではなく、本作ではリアルタイムでのヘイトとミュータントを結びつけた。公開タイミングも奇跡的にドンピシャ。大統領選の結果に失望して、カナダ移住を企てたアメリカ人とも重なる。

アメコミ映画で一番、と言うよりゼロ年代最高の映画の1つとしてあげられるダークナイトは、9・11以降の世界の不安が物語全体に漂う名作だ。ただひたすらの狂気を秘め理解に窮する行動を起こすヴィラン、自らの手を汚す正義の執行者、武器も物理的な力も財力も持たない市民が持つ勇気、これらの対比が素晴らしいと思った。絶望的な状況の中での市民の行動に、光明を見出だしたのは私だけではあるまい。
そこから少し時が過ぎた今は、事態が複雑化した。宗教間の一大戦争はいつまでも終わらないし、大都市でのテロも増えた。イギリスの混乱もご覧の通りだし、多人種が共存するアメリカですら国内の対立を露骨に煽るようになった。今年、この作品が上映されていることには、深く重い意味があるだろう。
X-MEN80年代の傑作God Loves, Man Killsは、マジョリティの良心に訴えた。2017年のLOGANでは、マジョリティの善は殆ど描かれていない。これは果たして良い状態なのだろうか?

X-MENの映画が、その瞬間の世界の問題を描くまでになっただけでなく、アメコミへの痛烈な皮肉も交えた渋いものになったことに、昔読み漁った者の一人として感動した。心から、アメコミのある子供時代を送ったことを嬉しく感じた1本だ。
率直に言って、結構アラがある。そこは説明しとけよ!が回収されないし、ラスボス戦の決着の付き方が途中でモロバレなのでスプラッタでも心臓に優しい。X-23からXXXX(一応伏せておく)に至るまでの技術力の進歩が目まぐるしすぎだし、終盤敵が一気に頭悪くなるのはどういうことだ。だが、若者の軽やかで狩りのような体術とオヤジのおもっくるしさが両方楽しめるアクションシーンと、考えさせられるメインテーマが、欠点をも打ち消す。暴力描写が多いが、あまり前提知識がなくてもついていける様に仕上げているので、アメコミファンでない人にも是非見て貰いたい。
ヒューのウルヴァリンにこれ以上無い立派な墓標を造り上げたスタッフ達には敬意と感謝を、タフで聡明な恵まれし子らには神のご加護を。ローラのその後を描いたスピンオフ、絶対作ってね!


■6月15日(木)

筋力トレーニング。

●レッグプレス
 10set

●ペックデック
 5set

●ミドルロウ(マシン)
 5set

●サイドレイズ(マシン)
 5set

●チェストプレス
 5set

●リアデルト(マシン)
 5set

●腹筋
 100rep×1set


LOGANではローラのアクションシーンが超カッコいいんだけど、スタントをやっているのも子供なのだそうだ。やっぱりアメリカには、バカ強い戦士とアクションが似合う。
老いてなお立ち上がるローガンの様に、弱きを助け、不平等に立ち向かい、吠えるのがアメリカ人であって欲しいね。勿論、売店ではちゃんとお金を払うんだぞ!

【余談】
てかさ、今後のXーMENの公開予定見てるんだけどさ、次はダークフェニックス・サーガなんすね。X-Men: The Last Standでも少しやってたのに、あれじゃダメだったんだろうか?
長い歴史で放置されまくってるネタもキャラも設定も腐るほどあるんだから、そこにも光を当てて欲しい。女性キャラは他にもいるのに、ジーン・グレイばかりヒロインやられるのはちょっとなぁ。セクシーブロンド女優に露出の高い服を着せてエマ・フロスト激推ししたって、ブルネット若手にキティやらせたって、ブラックパンサーを顎で使うストーム姐さんのわくわくアフリカ冒険記やったって良いんだよ?よーしローラ、シャキーンと爪を出しながらFOXに向かおうか。←NOT OKAY!
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